自分にできること
こんにちは。理学療法士のpeachです。
今日は少し重めの内容になります。
理学療法士ってけっこう大事な職業だなと感じた話です。
ちょうど一年くらい前、理学療法士として働き出して自分にとって二人目の担当患者さんとのエピソードです。
髄膜腫という良性の腫瘍が脳にできた80代後半の患者さん。
腫瘍は良性だけど脳内を圧迫して色んな影響が出るから手術。
小脳の一部を摘出した影響もあってバランス能力が低下。
手術後は歩くどころか、何かにつかまらないと一人で立つこともできなくなった。
病室からリハビリ室までは当然車椅子で移動。
でもリハビリしていくうちに、何もつかまらないで立てるようになった。
そのうちリハビリ室までもシルバーカー使って歩いていけるようになった。
理学療法士としてデビューしたてだった私にとって、患者さんがどんどん良くなっていく姿が本当に嬉しかった。
信頼関係も少しずつできて、リハビリ以外の時間ですれ違ったりすると嬉しそうに笑ってくれたり。
私もその患者さんのリハビリに入るのがすごく楽しかった。
でもやっぱり早く家に帰りたいってよく言ってた。
そんなこんなで約3ヶ月かけて退院。
最終的には4点杖という普通の杖よりもうちょっと足がしっかりしてる杖を使って退院。
けど、2週間後の外来受診で髄膜腫の再発が発覚。即再入院。
次は手術は難しい状況だった。
今度は別の病棟に入院だったからリハビリは別の人が担当。
その担当の人から「俺の名前は全然覚えてくれないのに、peachさんの名前はずっと言ってるよ。」と。
病棟は違ったけど、たまに病室にも会いに行ったり、リハビリ室で会ったり。
でも結局3ヶ月後くらいに亡くなってしまった。
初めて自分が担当した患者さんが亡くなって、すごく悲しかった。
笑いながらリハビリしてた日々を思い出した。
結局自分は無力だったなと落ち込んだ。
でもよくよく考えてみたとき、
理学療法士は医者ではないから、当然患者さんの病気そのものを治すことはできない。
でも最初立つこともできなかったところから、歩けるようになるお手伝いができた。
家に帰りたいっていう患者さんの願いを2週間だけでも叶えられた。
これは手術を成功させた医者にもできないこと。
理学療法士としての使命を初めて悟った瞬間だった。
実はつい先日も担当していた患者さんが亡くなってしまった。
やはり、命の現場にいる限りこういったことは避けられない。
病院に勤めていると、必ずしも良い方向に向かっていくわけではない患者さんのリハビリもしなくてはいけない。
その中で理学療法士として何ができるかということは常々考えさせられる。
ベッドから起こす。立たせる。歩かせる。
これだけがリハビリではない。
寝たきりの人でも褥瘡(床ずれ)が出来ないようなポジションを作ってあげる。
少しでも楽に呼吸ができるように首回りや胸郭をストレッチしてあげる。
これも立派なリハビリ。
その患者さんに合わせてベストなリハビリを提供できるようなセラピストになれるようにこれかれも頑張っていきたいと思います。
つくば始音教会 peach