茨城という肥沃な土壌
暑くなってきましたが、
初夏にちなんだ昔話を思い出したので、一つ。
むかーし昔、あるところに、若い女の子がいました。
世にも有名な、平○宿舎の4号棟で、窮屈もそれなりの学生生活を送っていました。
同じ宿舎に住む周りの学友達は、
「ゴキブリが怖い!!」
と言って、一回のみならず、二回バルサンをたく人が多かったのですが、田舎育ちのその女の子は、
「別に大丈夫だろう。」
とたかをくくって、ゴキブリ対策をしていませんでした。
そうしたある日、その女の子が、宿舎の一室で眠っていると、深夜、
「ブウウウンッ」
という、鈍い音が、左の耳元に、いきなり聞こえてきました。
「…な、なんだ…?」
と、目を覚まして電気をつけると、黒黒とした、大きく立派なゴキブリが、枕に不時着していたのでした。
田舎育ちで虫に慣れているとは言え、心と体が固まったその女の子は、数秒間、棒立ちになりました。
枕元にゴキブリが飛んできたのは、人生初でした。
一人暮らしの身の上を考え、なんとか自分ひとりでその敵をやっつけようと、格闘する決心をしました。
近くにあった冊子を丸めて、立ち向かう彼女。
しかし、敵は、素早く逃げ、
「く、くそう…」
と思う女の子。
そして、敵が逃げた先へ、再びにじり寄り、さらに近づこうとした時、
「ブウウウウンッ」
敵は、女の子目掛けて飛んできました。
(_ _;
その時の恐怖が、今でもその子のトラウマになっていると言います。
その黒い物体は、自身にとって敵であるその女の子を威嚇した上、その子の部屋のせま〜いベッドの下の隙間に素早く入り込み、その夜、もはや姿を現すことがありませんでした。
「ゴキブリがいる部屋で眠らないといけない恐怖…」
女の子は、悩みました。
しかし、戦意喪失している上、敵も姿を現さない。敵の処理は、むずかしい…。
しかも、その時は夜中。友達に助けを求めるにも、迷惑になってしまう…。
悩んだ挙句、眠くなってきたその子は、敵の潜伏先である、元々寝ていたベッドへ戻り、朝まで眠ることにしました。
その夜、2度目の襲撃を受けることはなく、無事に朝を迎え、いつも通り大学へ行くことができたのでした。
朝を無事に迎えることができ、感謝したと言います。
その子の受けた教訓は、2つ。
その子は元々、薬剤による体への悪影響を考え、殺虫剤を嫌う傾向がありました。
環境ホルモンの影響とか、複合的で、将来どんな風に出ちゃうかわからないし。
自然な方法(つまり、丸めた新聞紙などで叩く)を採用することが、自然環境にも、人体にも良いことだと信じていました。
しかし、「宿舎」という、古く、きた○い特殊な環境を、考慮に入れなければ、環境の調整はでき得ないのでした。
このことのあった週の週末、その子は、不本意ながらバルサンを買って、部屋にビニールをかけ、なんとか、虫対策を講じたのでした。
部屋に物を置く前にバルサンをしていた近所の友達が、先見の明を持っていた(後で振り返れば、「あなたもこうした方がいいよ」という神様からのメッセージだった)と気が付くのでした。
この子は、つくばよりも田舎の地域出身でした。
「周りの子は『都会育ち』だから怖がってるんだろう。」
と、思っていました。
また、その子は、自分自身の過去の経験から、虫に対しては、度胸があると思っていました。
しかし…
「(茨城の?)ゴキブリは飛ぶ」
という大きな脅威を、知らない世間知らずでした。
(少なくとも、その子が地元で出会ってきたゴキブリ達は、飛んだことがなかった…)
敵は飛ぶ。しかも、自分自身に向かって飛んで来る…。
「飛ぶなら、別の方向へ飛んでくれ…!!」
というのが、万民の願いでしょう。(いや、そもそも飛ばないで欲しいし、出現しないで欲しい。)
つくばに来てから、長く経ちますが、
蟻もデカい…!
ゴキブリもデカくて飛ぶ…!
野菜も立派でみずみずしくて美味しい…❤️
茨城・つくばは、あらゆる生命体が生育するのに格好な良質で肥沃な土壌を備えているのではないかと推測されるきっかけとなった、若い日の出来事でした。
(現在は、4号棟は男子棟らしい。女子棟だったのが何年前かなんて、計算しないでね。)
つくば始音教会 ゆう